20160726_宮城県 漁師と農家ツアー
特急といっても、前半は各駅なんだってことに、乗ってから気がついた。
先週末、ムスメの夏休みに合わせて、家族で漁師と農家の友人たちに会いに行ってきた。会いに行ってきたと書くと何だか対等な感じだけれど、どちらかというと、仕事の時間を割いてもらって我が家の社会科見学に付き合ってもらったというのが本当のところ。
どちらの家もここ数年、彼らが育ててくれた食材でムスメが育ちましたっていうくらい大切な、かかりつけの漁師と農家。
安全で美味しいものを適切な値段で買うことは本当に大事で、ある意味贅沢なことだと思うが、エンゲル係数の高い我が家にとっては重要なことなのです。
で、漁師と農家に何しに行ってきたかというと、ムスメの自由研究の宿題にかこつけた大人の社会科見学という訳。
友人の漁師は南三陸町の歌津伊里前で牡蠣、若芽、海鞘の養殖をしている。
農家の友人は登米市の中田町上沼大柳で米、胡瓜、トマト、枝豆、オクラ、カボチャ、メロンなど(他にも書ききれないくらい)沢山の種類の野菜などを生産している。
最初に行った伊里前では、友人がどういう思いで、どのように海産物を育てているかを聞いた後、船に乗せてもらって養殖いかだの場所まで案内してもらった。
「ここから見る海と空の広さと色、浜の景色が一番」という場所も連れて行ってもらって、大人は感動、ムスメも大満足な時間を過ごせた。
来シーズンの相談をして、お別れする時、いつものお礼にと小さな殻付きの海鞘むき身を頂く。どっちが世話になっているのか分からないけど、その晩予定していた農家のバーベキュー食材にありがたく頂戴した。
伊里前を後にして登米に向かう。途中、小さな町をいくつも通り抜けたけど、土曜日ということもあってなんというか、殆どのお店がシャッターを閉めていた。どうなんだろう…これは正しい姿なのか、あるいは残念な現実なのか…。
当然AEONをはじめ、全てのスーパーは営業していて車を持っていれば生活に困ることは無いと思われる。でも、何と言うか、別に僕が納得するかどうかは地域には関係ないのだけど、複雑な気持ちになった。
夕方登米に着くと友人が既に倉庫(彼の家には自宅の敷地に大小様々な倉庫がある!)の前で炭を起こして、焼く準備をしていてくれた。そこに横付けする我が家の車(笑)
早速伊里前から持ってきた海鞘を解凍しつつ、バーベキューのスタート。車を降りてすぐに、採れたて茹でたての枝豆でビールをやるとは思ってなかったので心の準備が追いつかないまま、彼の家で採れた野菜を食べまくる。胡瓜、トマト、イタリアナス etc… 肉より野菜を多く食べるバーベキューは初めて(笑)
美味しい味噌おにぎりと、油斑入りのうどんを頂いたところで閉店。農家バーベキュー恐ろしい。食べ過ぎ。
翌日はインタビュー前に田んぼを見がてらザリガニ釣りに挑戦。見がてらって、ザリガニを前に田んぼを見て何になるんだというくらい、子供の応援のつもりがすっかりハマる大人陣営。竿は4つなくていいかと聞かれた時、素直に4つお願いしますと行っておけばよかった(笑)
小一時間ほどザリガニを釣ってから、家に戻って野菜の収穫。トマトや胡瓜のハウスにお邪魔して、品種や育て方の説明を受けながら沢山(本当に沢山)採らせてもらう。また、ハウスの外も案内してもらい、ズッキーニや珍しいカボチャ(バターナッツだって)、リーフフェンネルやスイスチャード、アーティチョーク(!)などの珍しい野菜も何と言うか、遠慮無く収穫(笑)
胡瓜を食べて落ち着いたらようやく取材。農家から見る食料自給率の話や、GDPの話をムスメにも分かりやすく(つまり大人にはとても分かりやすく)話してもらう。それと、作業中に彼のお母さんから伺った事業継承の話は、非常に興味深かった。恐らく、第一次産業従事者の事業継承に関する考え方は子供たちに何を残すかという視点と、子供たちにどう任せていくかという視点、これからの社会情勢をどう視るかなど、様々な面で考える必要に迫られているというか、自分たちの生活を運用しながら次の世代を育て、引き継ぐ必要があるので真剣に考えられているという印象を受けた。都会のサービス産業に従事している我々には中々思い至らず、日々の生活では意識の外に出してしまいがちなことに気付かされ反省しきりだった。
取材の後、これまた野菜たっぷりのはっと(汁?)をご馳走になり、贅沢なお昼ごはん。帰り際、更に多くの野菜を持たせていただき、本当に何をしに来たのだか分からないまま見送られて帰路に。
夏休み初日から非常に濃い日々だった。これでもう終わりかってくらい(苦笑)
ムスメはこれから取材した内容をちゃんとまとめて大作を狙うらしい。
大人は今回の体験を元にどういう仕事が作れるか考えることと、今回相談してきたことを実行するために何から取り組むか考える。
それにしても、人のつながりは本当にありがたい。今回改めて実感したけど、経験は何にも代えられない。
僕がムスメに残してあげられるモノのうち、物質的なモノはきっとひどく少ないと思う。でも、彼女にこうした人のつながりや、人と繋がることの豊かさを理解できる経験を残してあげられそうなのは、今こうしてやっている自分の仕事のありがたさだと感じた旅だった。
皆さんどうもありがとうございます。
願わくは、この経験を僕の回りの仲の良い家族と分け合う機会を作り上げられんことを。