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前回はとにかく迷惑をかけないように必死で(笑)乗った船も、今回は二度目。少しなれてきて、例えば船倉で寝ながら現地に向かうときも色々なことを考えられるようになってきた。なんかね、船に揺られてエンジン音を聞きながらウトウト考え事をすると急に閃くことがあるんだよね。
で、今日考えたてことの一つが、東京からまき網漁に来て分かった5つのこと(笑)

1. 愛想を振りまかなくても気が使えるほうがいい
漁師は基本無口だ。あるいは作業に入る前は少し喋っても作業中は無口だ。声を出すのは大声を出す作業の号令(主に網を巻くスピードや、止める指示など)だけ。声を出して呼びかけるより、その人の方を叩くなどして直接注意を促してから話しかけるほうが周囲も混乱せず安全で確実なコミュニケーションがとれるのかと思った。まぁ、単に愛想がない可能性はもちろんあるけど(笑)
それより大事なことは、その場で求められてることを察して先回りして行動できることかな。目線とか全体の状況とかそういうものから察する力が大事なんじゃないかと思った次第。まぁ、船での僕は約立たずなままだけど(苦笑)

2. 実はみんな親切(お客さんには)
これはね、僕がお客さんの立場だからそうでない場合については分からないけど、愛想が無いことと不親切なことはイコールではなく、むしろ、僕はとても親切に迎えられている。作業の内容がわからないときは教えてもらえたり、動作が遅くても大目に見てもらえるし、居場所も気を使って作ってもらってる。
一番はね、二回目で慣れてきたら挨拶が帰ってくるようになったことだね(笑)無愛想は慣れの問題もあるんだと思う。

3. 言葉より相手に触って確認
1でも書いたけど、作業中のコミュニケーションは相手に触れてから話す、というのが基本スタイルみたい。作業に入る前や、終わってからはそんなことしてないけど、作業中はとにかく作業に集中してたりして忙しいのとエンジンの音がうるさいのでかなり大きな声で話しかけないと気付かれない可能性が高い。だから号令は一人が大声を出すと全員で復唱するくらいやる。そうでないコミュのケーション、例えば作業を交代するとか、何かを取ってもらうとか場所を変わるとかは大声を出すより相手の注意をこちらに向けてもらってかの方が合理的だよねと思った。

4. 網を畳むのは波に逆らわず
巻き上げてきた網を次の漁で絡まないように出すために、網は巻き上げながら船の奥側から畳んでいく。で、巻き網漁の漁師の中心の仕事の一つは、この網を畳む作業になるんだけど、波に揺られながら不安定な網の上に立って左右、時には前後の自分から少し離れた場所に網を置いていくのは難しくて体力を使う作業だった。帰ってくると結構疲れてたんだけど、今回慣れてきて感じたのは、船の動きに合わせて網を置く場所を定めるだけで2/5くらいの体力を温存できるってことだった。網を畳む目的は次の漁で絡まないようにすることと、全員で均等な高さに畳んで積み上げることなのだから、それさえ守ればできるだけ体力を使わないほうが良くて、網は船の動きであっちに行ったりこっちに行ったりするのだからそれに合わせて少しだけ誘導してあげれば十分役割を果たせるなと思ったんだよね。

5. イワシは面倒なときのほうが沢山捕れる
今回は大漁よいうより中漁だった。前回大漁のときは大きな魚が網に入っていたり、鮫が網の外から穴を開けたりしてたけど、今回網の中に居たのはイワシだけだった。大きな魚が入ってもイワシ漁船は基本的にイワシしか獲らないから、まぁ、言い方は悪いけどイワシ以外の魚は外道だ。まして鮫なんて網に穴をあけるし空いた穴からイワシが沢山逃げるので、その漁だけでなく、空いた穴を塞いでおかないと次の漁に出られないからすぐに帰れないとか面倒なことこの上ないんだけど、そうした魚や鮫がいるからものすごい大きなイワシ玉(じゃなくてベイトボールって言うんだってさ)ができて、例えば今回の倍獲れるような良い漁になるんだって。うん、前回大漁のときは凄かった。だから、面倒なときほど沢山取れるっていうのは合言葉みたいなものだって、漁師さんが嬉しそうに話してた。

で、これ、毎回だけど僕の仕事とも共通する考え方だなって思うわけ。
1はそのまま。まぁ、多少愛想が良くした方が仕事はしやすいけど、社員を雇うなら僕も愛想より気が利きそうな人にする。
2はね、相手のことをどう観察するかってことかな。本当はどういう人なのかってことを第一印象だけじゃなくて見極めるのは大事だと思う。あと、慣れてくれば誰でもその相手には多少気を使うようにな、とかね(笑)
3は現場に合わせたコミュニケーションスタイルが大事ってことだな。伝えることがコミュニケーションのゴールだから、何が一番合理的か考えるのは重要ってことで。
4はもう、どんな場面にも当てはまる気がするのだけど、流れに逆らっても体力を消耗する割に良い仕事にならないってことかな。状況をきちんと観察して流れを掴むこと。
5は逆境のときに頑張れる一言だと思う。陸の仕事だって面倒なときほど良い仕事になる可能性は高い。まぁ、そもそも僕のところに来る時点で半分くらいの仕事は面倒な仕事だから(笑)

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