20200613_本当は恐ろしい無人島移住の話2(良い話には裏がある)
※ 音声は変えてあります
一度怪しいってことに気がつくと色々とおかしなところが目につくようになりました。
あの日は島に夜ついたので、疲れていたのでテントですぐに寝てしまったのですが、翌朝目が覚めると簡易ベッドで寝たせいか体が少しこわばっていました。寝袋じゃなかっただけマシなのかもしれませんが、それでもこれまでの生活を考えると落差がありました。
たぬきは広場のテントの中にいました。色々とテント内の設備を説明されたり島の生活についても話が聞けたのですが、結局は、とにかく生産的な生活をしてローンを返せということみたいでした。勝手に組んだローンをとにかく働いて返せというのはこれまで聞いたことがない話でとてもショックでした。しかも、島からの帰りの案内は一切されず、外界と全く切り離された生活を強いられます。スマートフォンを渡されたときはもしかしてこれで父に…と思ったのですが、どうやらつながるのはたぬきだけのようでした(たぬきめ)。
私は昼も夜も働きました。海に出かけては海岸で貝や珊瑚を拾い集め、木を揺らして果物を集めたました。それをたぬきのテントに持っていくとわずかばかりのお金に変えてもらうことができました。ただ、この島の店はたぬきのテントだけ。価格の交渉にも応じることはなく、金額に不満があっても受け入れられることはありません。
ただ、少しお金が貯まってくると釣り竿や虫取り網を買えることが分かりました。幸い島には沢山の虫や魚が見られたのでそれを捕まえて店に持っていくと、貝や果物よりも高い金額で買い取ってもらえました。
けれど、そこにも私達の生活を脅かす輩が待ち受けています。
それは、何気なく入ったたぬきの店とは別のテント…中にはフクロウがいました。彼(?)の野望希望はこの島に博物館を建てること。その夢は多少なりとも共感を覚えるものでした。博物館を建てるために生き物や化石(!?)が見つかったならまずはここに持ってきてもらいたいと懇願され、私は捕まえた虫や魚を都度彼に見せに行くことにしました。そして初めて彼が目にするものは寄贈の名のもとに没収され、買い取られることは一度もありませんでした。それでも、フクロウの博物館が本格的に建設され、展示物が充実していくと、寄贈者として私の名前が博物館に表示されるのを見ると、どうしてもやめられないのです…つい嬉しくて…自己顕示欲に勝てない…。
こうして二重の搾取構造に苛まれつつ、それでも私は働きました。それこそ、早朝から深夜まで。そして、とうとうローンが払い終わったんです!
…でもそれは終わりの始まり…いつ終わるかも分からないローン地獄の始まりだったんです。
つづく